旧東海道の品川宿は、江戸から旅立つ人々で賑わった最初の宿場町。
メインの街道を歩くだけでも十分楽しいエリアですが、実は宿場町の周辺に少し足を延ばすと、江戸時代のこのエリアの歴史や雰囲気を感じられるスポットがたくさんあります。
今回は、旧東海道から寄り道して巡る「周辺スポット」の第一弾として、品川宿のすぐ近くにありながら、街道歩きのルートから外れてでも絶対に立ち寄りたい、おすすめの寄り道スポットをまとめてご紹介します!
紹介スポット地図
- 品川神社(北品川駅すぐ)
- 東海寺(品川神社から西へ徒歩数分)
- 品川浦舟だまり・クジラ塚(北品川駅から海側へ)
- 品川灯台レプリカ(台場小学校前 / 東品川公園)
- 品川歴史博物館(大井町駅・大森駅側)
宿場の守り神と「富士登山」を体験:品川神社


旧東海道から北西へ少し歩いた先、第一京浜沿いにそびえる大きな鳥居が目印の「品川神社」。
文治3年(1187年)に源頼朝が海上安全を祈願して創建したと伝わる、品川宿の北の総鎮守です。


ここの最大の見どころは、境内にある「品川富士(富士塚)」。
江戸時代、富士山を対象とする民間信仰が広がりを見せ、各地に富士講が結成されました。
現在境内にある立派な富士塚は、明治2年(1869)に品川宿の「丸嘉講(まるかこう)」の講員たちの手によって造られたものです。
しかし、その活動自体は江戸時代から熱心に続いていたと考えられており、まさに江戸の「富士信仰」の熱気を今に伝える貴重な遺構です。


この「富士塚」は都内最大級の規模を誇り、本物の富士山の溶岩を使って築かれています。
登山道が整備されており、1合目から順に登って山頂(本殿裏手の上)に立つと、かなりの高低差と爽快な景色を味わえます。
手軽に富士登山の御利益を得られる、宿場町きってのパワースポットです。


品川神社の境内裏手(本殿の裏側から続く参道の先)には、明治維新の元勲であり、自由民権運動を主導した板垣退助の墓があります。
「なぜ神社にお墓が?」と思うかもしれませんが、実はこの場所、もともとはこの後紹介する「東海寺」の塔頭(たっちゅう・大寺院に属する脇寺)の跡地にあたります。
神仏分離や区画整理などの歴史を経て、現在は品川神社の境内に隣接する形で静かに佇んでいます。
墓所には、板垣退助の有名な言葉「板垣死すとも自由は死せず」と刻まれた石碑や、彼の妻の墓も並んで建てられており、国指定史跡にもなっています。
徳川家ゆかりの広大な名刹:東海寺


品川神社からさらに西へ進んだ場所にある「東海寺」は、寛永15年(1638年)に徳川三代将軍・家光が、名僧・沢庵(たくあん)禅師を迎えて創建した臨済宗の大寺院です。
かつては広大な敷地を誇り、宿場町とも深い関わりを持っていました。現在は当時の姿から縮小されているものの、境内には静かで厳かな空気が流れています。
沢庵禅師の墓をはじめ、歴史上の重要人物たちの足跡を感じられる、歴史好きなら外せない寄り道スポットです。
江戸の水辺の面影を残す:品川浦舟だまり

旧東海道から東側(海側)へ少しそれた場所に位置する「品川浦舟だまり」は、かつて漁師町として栄えた品川の面影を今に色濃く残す場所です。
近代的な高層ビル群を背景に、水面には数多くの屋形船や釣り船がずらりと係留されており、新旧の東京が融合した不思議なコントラストを楽しむことができます。
どこかノスタルジックな磯の香りと、穏やかな水辺の景色は、街道歩きの足休めにもぴったりです。
幕末の捕鯨の記憶を伝える:クジラ塚


品川浦舟だまりからほど近い「利田神社(かがたじんじゃ)」の境内にあるのが、少し珍しい「クジラ塚」です。
寛政10年(1798)、当時の品川沖に体長約16メートルもの巨大なクジラが迷い込み、江戸中の大騒ぎになりました。
この話は江戸城にも伝わり、クジラは浜御殿(現在の「浜離宮恩賜庭園」)まで運ばれ、当時の十一代将軍・家斉も上覧しました。
その後、クジラは解体され、骨をここ利田神社に埋葬し、供養のために建てられたのがこの碑です。
当時の品川が豊かな海とつながっていたことを教えてくれる、貴重な歴史の1ページです。
台場跡と灯台の歴史をたどる:品川灯台レプリカ巡り
品川の海は、日本の近代化や国防の歴史と深い関わりがあります。
かつて品川沖に築かれた台場(砲台)のうち、第二台場に明治になって建てられた「品川灯台」は、現存する日本最古の洋式木製灯台(現在は愛知県の「博物館明治村」に移築・国の重要文化財)です。
品川宿周辺では、その美しい白い姿を再現した2つのレプリカに出会うことができますが、実はその設置場所自体に深い歴史のドラマが隠されています。
① 台場小学校 校門前(御殿山下台場砲台跡)


旧東海道から少し北東へ進んだ場所にある「区立台場小学校」。
この学校の敷地こそが、幕末にペリーの再来航に備えて急ピッチで築かれた台場のうちのひとつ「品川御殿山下台場」の跡地そのものです。
当時、現在の東京港周辺にいくつかのお台場が作られましたが、「品川御殿山下台場」は唯一、陸続きで築かれた「台場(砲台)」でした。
現在は校門前に立派な品川灯台のレプリカがあり、その土台に小学校建設時に発見された「品川御殿山下台場」の石垣が使用されています。
② 東品川公園内

もう一つのレプリカは、台場小学校からさらに南東へ歩いた「東品川公園」の中にあります。
こちらは公園のシンボルとして緑の中に設置されており、すぐ間近まで近づいてディテールを観察することができます。
「明治村」の実物をみたことがあるのですが、かなり本物に近いと感じました。
品川の歩みを深く知る:品川歴史博物館


博物館は、これまでに紹介した旧東海道の宿場町エリア(北品川や青物横丁周辺)からは、かなり離れた場所(大井町・大森エリアの静かな住宅街の中)にあります。
宿場町から歩くと30分以上かかるため、品川宿歩きとセットで巡る場合は、無理せず大井町駅などからバスを利用するか、旅の最初(または最後)に電車で最寄り駅へ移動して訪れるのがおすすめです。
博物館の前には、先ほど紹介した台場小学校の建設中に土中から見つかった石垣石が展示されています。


館内入口には「品川宿の石垣石」が展示されています。
江戸時代の東海道品川宿は、実は海に面したロケーションにあったため、激しい波(波濤)から街道や町を守る必要があり、強固な石積みの護岸が張り巡らされていました。
撤去された石積護岸の隅角部の石材の一部を譲り受けて展示しています。
また館内には、品川宿の賑わいをリアルに再現した模型が展示されています。
こちらは品川宿の北側出入口のあたりが再現されており、後ろの山は「八ツ山」です。
事前にここで知識を深めてから街道を歩くもよし、歩き終わった後に答え合わせとして訪れるもよし。
品川宿への愛着がさらに深まる、歴史好き必見の博物館です。
おわりに
旧東海道の品川宿周辺には、メインストリートだけでは見落としてしまう、歴史の魅力がぎゅっと詰まっています。
今回ご紹介したスポットは、どれも宿場町から徒歩圏内でアクセスできる場所ばかり。
次回の品川宿歩きでは、ぜひ少しだけ「横道」にそれて、あなただけの品川の表情を見つけてみてください!

